会長挨拶

会長に就任して

高橋会長本法人の今期役員の任期期間中は、日本社会事業大学が会長校であり、大橋謙策学長の退任にともない残任期間を会長職として勤めることになった。この間、以下のような点についての取り組みを中心に本法人の諸事業を展開していきたい。

アジア太平洋ソーシャルワーク会議への積極的な参画

2010年6月10から14日まで香港のコンベンションセンターを会場に国際ソーシャルワークと社会開発の合同会議(2010 Joint World Conference on Social Work and Social Development : The Agenda)が開催された。1968年に東京で開催された時には国際社会福祉会議(International Social Welfare)であったが国際ソーシャルワーク会議に変更されていた。いつからそうなったかは確認していないが、大きな変化である。国際ソーシャルワーク教育学校連盟(IASSW)、国際ソーシャルワーカー連盟(IFSW)、国際社会福祉会議(ICSW)の合同会議に約3,000人が集まり、講演、発表、ポスター発表と熱心な議論が行われた。2000のソーシャルワークの定義の見直しを行う予定であったが。次回のストックホルム大会で議論されることになった。13日にはアジア太平洋ソーシャルワーク教育連盟(APASWE)の会議(秋元樹会長)に中国、韓国、オーストラリア、ニュージランド、マレーシア、タイ、ベトナム、インド、日本の代表が参加した。各国でソーシャルワークの定義の見直しを議論し、APASWEでまとめアジア太平洋地域から世界へ提案することが合意された。11月4日には日本社会事業大学アジア福祉創造センターの主催(JICA)で、アジアの代表を迎えて定義見直しについての議論が行われる。

また、2011年7月15日・16日・17日・18日第21回アジア太平洋ソーシャルワーク会議が早稲田大学国際会議場で開催される。「ソーシャルワークの新たな地平:共生と連帯」(Crossing Borders: Interdependent Living and Solidarity)会議のテーマのもと約500名の参加を予定している。学校連盟としてきわめて重要な会議であり会員各校からの多くの参加者を期待している。大学院の院生にも参加を呼びかけてほしい。さらに、未だAPASWEに加盟していない大学は、ぜひこれを契機に加盟していただきたい。

問題意識、学校連盟の役割・使命

基本的には前会長が掲げた以下の問題意識、学校連盟の役割・使命を継続し、課題の解決に向けた努力をしたい。
4年制の社会福祉系大学の多くで人学定員割れがおきていること、介護福祉士の養成校の殆どで人学定員割れがおきていること、精神保健福祉士養成校一般課程において入学定員割れがおきており、養成課程を廃止するところも現れている。また、社会福祉系大学や介護福祉士養成校を卒業しながら社会福祉現場に就職する学生が減っており、社会福祉現場では深刻な人材不足に陥っていることである。これらの問題にどう対応するか、学校連盟の存在自体も含めて問われている。かつまた社会福祉系大学が廃校・学科閉鎖になることにより、大学院での社会福祉学研究と教員養成のサイクル、社会福祉現場と社会福祉教育・ソーシャルワーク教育のリカレントが壊れ、社会福祉業界全般の地盤低下、ひいては国民が求める社会福祉サービスの低下をもたらすことになりかねない。

 

学校連盟は、これらの課題について、日本社会福祉士養成校協会やソーシャルケアサービス研究協議会などと連携しつつ、以下のような課題に取り組みたい。

1高校生やその保護者、高校教員の福祉、ソーシャルワーカーのイメージが介護問題に引きつけられすぎていないかという判断に基づき、社会福祉士、精神保健福祉士の業務であるソーシャルワーク機能をもっとイメージアップできるDVDを作成したので、普及・啓発を図る。

2ソーシャルワークについての周知を国民につたえる。

3文部科学省が進める高校福祉科教員の介護技術講習を受託し、高校教員の社会福祉教育に関する理解を深め、その普及を図る。

4過去2回開催したソーシャルワーカーディ(海の日)の行事の企画・実施を中央および各都道府県で開催を働きかける。

5“福祉人材”と一口に言うが、それにはソーシャルワーカーである福祉人材とケアワーカーである介護人材の2種類がある。多くの人がそのことを理解するように、特に、高校教員やマスコミ関係者に広く理解してもらえるよう働きかける。

62009年に創設された福祉系大学経営者協議会(2010年9月現在18大学が加盟)の一層の発展をめざす。

7新しい社会福祉士養成カリキュラムに対して、社会福祉援助技術演習や社会福祉現場実習指導に関わる講習、教員養成研修を日本社会福祉士養成校協会と協働して推進する。

8この他学校連盟は社会福祉士養成教育のみを行う組織ではなく、国際ソーシャルワーク教育学校連盟にも加盟しており、国際的なソーシャルワーク実践やソーシャルワーク教育の向上にも貢献することが使命として課せられている。最初に紹介したように、現在アジア太平洋地域ソーシャルワーク教育学校連盟の会長は秋元樹先生(日本社会事業大学アジア社会福祉創造センター所長)であり、国際ソーシャルワークの定義の見直しをはじめ多様なプログラムに積極的に共働していきたい。
また、社会福祉士養成教育で抜け落ちてしまう社会福祉の歴史、社会福祉思想、保健福祉、国際比較研究等に関わる社会福祉教育や研究の推進もせざるを得ない組織である。したがって、社会福祉系大学としての「学士力」の問題と専門職業との兼ね合い、国際理解、国際貢献の視点からの社会福祉教育のあり方をも視野に入れて社会福祉系大学の教育と経営を考えていく必要がある。

上記に掲げた課題を精力的に解決するために、今後日本の社会福祉教育のナショナルセンターを構築するために日本社会福祉士養成校協会や日本精神保健福祉士養成校協会との合併協議を進めること、専門職大学院の評価機関としての認証を文部科学省に申請しなければならない。  加盟校の関係者からご支援、ご協力をお願いしてご挨拶としたい。

連盟通信64号より