- TOP
- 団体概要(会長挨拶)
会長挨拶
社会福祉教育の危機的状況と学校連盟の役割・使命
日本の社会福祉教育は、現在危機的状況にあると言っても過言ではない。18歳人口の減少と大学設置数の
増加等との関わりで、「大学全入時代」を迎えたと言われる背景と、“新たな3K職場”というマスコミによ
る福祉人材に関わるキャンペーン等の中で、日本の社会福祉教育は危機的状況に陥っている。日本私立学校
振興・共済事業団の平成20年度私立大学・短期大学等入学志願者動向調査によれば、社会福祉分野への志願
倍率は3.3倍で、入学定員充足率は92.06%(全体では106.54%の充足率)であり、全20分野の内、定員充足
率で言えば第19位という低位で、高校生等からみると魅力のない、将来性のない分野とみられていると思わ
ざるを得ない。
この数字をどう見るかは、いろいろ意見はある。主立った意見として“そもそも少子高齢化といっても、 もともと社会福祉分野を志望する高校生の母集団は多いとは思えないので、パイが同じところに社会福祉系 大学が増加しすぎたのだ”、“マスコミなどによる福祉人材のネガティブキャンペーンがあって、本人はさほ どでもないのに、保護者や進路指導の先生が志望させないのだ”、“社会福祉系大学への志望数は絶対数とし ては変わらないのだが、高校生のブランド志向もあって、社会福祉士の受験資格が取れる大手私立大学に入 学者が殺到し、中小の、地方の社会福祉系大学が苦戦しているのだ”等々の意見を聞く。
この数字の分析は、もっときめ細かく分析をしなければならないが、看過できない状況として、4年制の 社会福祉系大学の多くで入学定員割れがおきていること、介護福祉士の養成校の殆んどで入学定員割れがお きていること、精神保健福祉士養成校一般課程において入学定員割れがおきており、養成課程を廃止してい るところも現れてきていることである。また、社会福祉系大学や介護福祉士養成校を卒業・修了しながら、 社会福祉現場に就職する学生が減っており、社会福祉現場では深刻な人材不足に陥っていることである。こ れらの問題にどう対応するか、学校連盟の存在自体も含めて問われている。かつまた社会福祉系大学が廃 校・学科閉鎖になることにより、大学院での社会福祉学研究と教員養成のサイクル、社会福祉現場と社会福 祉教育のリカレントが壊れ、社会福祉業界全般の地盤沈下、ひいては国民が求める社会福祉サービスの低下 をもたらすことになりかねない。
学校連盟は、これらの課題について、昨年度来日本社会福祉士養成校協会やソーシャルケアサービス研究 協議会などと連携をとりつつ、以下のような取り組みを展開もしくは展開しようと考えてきた。
高校生やその保護者、高校教員の福祉イメージが、介護問題に引きつけられすぎていないかという判断
に基づき、社会福祉士、精神保健福祉士の業務であるソーシャルワーク機能をもっとイメージアップできるDVDを作成し、関係機関に配布、普及を図る。
譖日本社会福祉士養成校協会の企画に賛同して、大手新聞紙に大学の広告とともにソーシャルワークの
宣伝を国民向けに行なう。
文部科学省が進める高校福祉科教員の介護技術講習を受託し、高校教員の社会福祉教育に関する理解を
深め、その波及を図る。
ソーシャルケアサービス研究協議会を構成する社会福祉専門職職能団体や社会福祉教育全国組織と協働
して推進している日本版「ソーシャルワーカーデー」の開催に協力する。厚生労働省は、2008年より11月
11日を「介護の日」と定め、介護人材への国民の理解を深める取り組みを行なっているが、その「介護の
日」の活動に協力し、成功させる努力もしつつ、日本版「ソーシャルワーカーデー」を「海の日」(2009
年は7月20日)に行ない成功させる。出来れば、中央集会のみならず、各都道府県において、都道府県版
ソーシャルケアサービス研究協議会を結成し、福祉人材、介護人材の確保と労働条件の改善、ソーシャル
ワークへの理解促進を図るために「ソーシャルワーカーデー」を企画・実施してもらう。
“福祉人材”と一口に言うが、それにはソーシャルワーカーである福祉人材とケアワーカーである介護
人材の2種類があるのであり、多くの人が理解し、使い分けていないので、2つの違いを高校教員やマス
コミ関係者に広く理解してもらえるよう働きかける。
従来の学校連盟は、大学単位での加盟という組織形態であっても、実際は大学の中で社会福祉教育を担
っている教員による組織に事実上なっており活動内容も教育方法などに関する教育組織、研究組織に関す
る協議の側面が強く、しかもその内容は社会福祉系大学の経営に必ずしも関与出来る立場、責任ある立場
にない教員の意見になりがちであった。今日の社会福祉系大学の危機的状況を踏まえると、理事長・学長
会議などを行なうか、社会福祉教育に関わる教学のあり方を論議する組織とは別に、社会福祉系大学の経
営問題を論議し、必要に応じてソーシャルアクションをフットワークよくできる組織を立ち上げる必要が
ある。
新しい社会福祉士養成カリキュラムに対応して、社会福祉援助技術演習や社会福祉現場実習指導に関わ
る講習、教員養成研修を譖日本社会福祉士養成校協会と協働して推進する。
これらの課題を対外的に働きかけて、展開しようとすればするほど、学校連盟自体の力量、教育の質が
問われるわけで、そのためにもここ数年かけて論議してきた学校連盟加盟審査基準、社会福祉教育評価、
大学院の社会福祉教育の基準及び評価、学部教育におけるコアカリキュラムのあり方等に関して設置され
ていた各種委員会の合同会議を持ち、学校連盟としての第3者評価に耐える、時には学校連盟全体が「第
3者評価機関」としての認証を得るための「新加盟基準・認証評価事業に関する基本方針」を作成する。
2度の総会、理事長・学長会議、社会福祉教育セミナーの議論を踏まえて、2010年には決定をする。
この他、学校連盟は社会福祉士養成教育のみを行なう組織ではなく、国際ソーシャルワーク教育学校連
盟にも加盟しており、国際的なソーシャルワーク実践やソーシャルワーク教育の向上にも貢献することが
使命として課せられている。また、社会福祉士養成教育では抜け落ちてしまう分野である社会福祉の歴史、
社会福祉思想、国際比較研究等に関わる社会福祉教育や研究の推進もせざるを得ない組織である。したが
って、社会福祉系大学としての「学士力」の問題と専門職業教育との兼ね合い、国際理解、国際貢献の視
点からの社会福祉教育のあり方をも視野に入れて社会福祉系大学の教育と経営を考えていく必要がある。
ここに挙げた事項は、昨年度から今年度にかけて既に取り組み始めている。しかし、学校連盟が考えてい る以上に、社会福祉を取り巻く環境は厳しくなってきており、それに伴い社会福祉系大学の経営も厳しくな ってきているのも事実である。大学の経営という問題も視野に入れて、今まで以上にフットワークよく学校 連盟としての活動を展開し、社会的使命を果たさなければ学校連盟自体の存在が問われることになる。
本学校連盟は、この4月から新しい任期の役員体制で活動が始まった。基本的には、前期とほぼ同じ執行 体制で取り組むことになる。しかしながら、活動内容及び活動の仕方は、前年踏襲で運営できる状況にない。
上記に掲げた課題を精力的に行なわなければならないと同時に、今後(イ)日本の社会福祉教育の確たるナ ショナルセンターを構築するために、譖日本社会福祉士養成校協会や譖日本精神保健福祉士養成校協会との 合併協議を進めること、(ロ)社会福祉学部、社会福祉系研究大学院等の分野別「第三者教育評価機関」と しての認証を受けることを目指す取り組みをしなければならない。
加盟校の関係者の忌憚のないご叱声とご支援、ご協力をお願いして、新執行役員を代表して、新しい任期 の始まりの挨拶とさせて頂きたい。
連盟通信62号から転用





